2007年12月08日
12日 どうもんパークいよいよオープン

渡辺市長、有吉コープ理事長、吉松道門理事長 3人が、今後のまちづくりを語る
道場門前商店街のどうもんビル跡地に、山口市中心市街地活性化基本計画の主要事業でもある「どうもんパーク」が、12日にオープンする。それを前に、渡辺純忠山口市長、有吉政博コープやまぐち理事長、吉松昭夫道場門前商店街振興組合理事長の3人に、事業目的や今後のまちづくりなど話してもらった。
(聞き手/サンデー山口社長 開作真人)
―渡辺市長、お体は大丈夫ですか?
渡辺 ご心配・ご迷惑をおかけしました。入院して前よりも元気になった感じもします。いただいた借りを返せるように、今後はさらに一生懸命頑張ります。
―ではまず、山口市中心市街地活性化基本計画の全体像をお聞かせ願えますか?
渡辺 設定エリアは、県道山口大歳線から山口線までの間の75?ですが、山口市の歴史・文化・伝統をはぐくんできた“顔”の部分です。この顔をいかに良くするか、それこそが市全体の発展につながると考えています。また、エリアに近接する、県庁付近、大殿地区、湯田温泉なども巻き込み、さらには小郡都市核、秋穂、阿知須、徳地などとも結びつける「重層型のコンパクトシティー」を目指したい。このほどオープンする「どうもんパーク」は、設定エリアの「西の核」に位置づけています。逆に「東の核」には、一の坂川周辺地区整備事業やアルビ跡地事業などを予定しています。
―では、その「どうもんパーク」について吉松理事長、ご説明をお願いいたします。
吉松 中心商店街からは、大店法廃止を受け98年に、ダイエー、マイカルが相次いで撤退しました。その後官民共同でまちづくり推進協議会を立ち上げ、ダイエー跡地は市が購入。01年にコープやまぐちに入居していただきました。ですが、老朽化した建物は、もっても7年間。いろいろ試行錯誤した結果、組合施工による商業施設を作ろうということになりました。市の所有土地は650坪でしたが、周囲の地主さんの協力も得られ、約800坪に敷地面積を拡幅できた。おかげさまで、食品スーパーとして最低必要な、400坪の売場面積を確保することができました。
有吉 私どもの組合員は県内に約16万人で、26~27%の組織率です。けれども山口市だけを見ると、約45%の世帯に加入していただいている。その皆さんの願いは、自分たちの暮らしをよくすること、ひいては住んでいるまちを良くすることだと思います。ならば、中心市街地の活性化に加わるというのは、まさにあるべき方向性だと考えました。ダイエー跡でのこれまでの店舗はワンフロア260坪しかありませんでしたから、どうしても必要なものがそろわなかった。新店舗では、普段の食生活に関するものは、すべて充足できるようになります。12日に開店しますが、雰囲気も明るく、品の良い店に仕上がりそうです。
―「どうもんパーク」には、ほかにはどのような施設が?
吉松 高齢社会を迎え、生涯学習や趣味に生きがいを見いだす人も増えています。そんな中、NHK山口文化センターが来年3月3日にオープンする予定です。また医療施設では、12月25日に歯科医院「MKデンタルオフィス」が開院。街づくり山口も今月中に入居します。広場に関しては、芝生がまだ定着していないので、開放は来年春にずれ込むでしょう。
有吉 コープやまぐちでは、衣料品店舗も向かいの丸忠跡に12月20日ごろ開店させます。食品だけでなく、普段暮らしの実衣料も提供できるようにと考えました。
象のマスコット設置 にぎわいから市が立つ
吉松 どうもんパークの目指したところは、いろんな情報交換や文化的な要素によってにぎわいを生み、にぎわいがあるからそこに市が立つ、という本来の商売のあり方です。ですから、市内で初めてであろう屋上緑化公園や文化教室、医療施設こそが重要。ランドマークとしてのマスコットも、屋上と公園の2カ所に設置しました。
―マスコットですか!?
吉松 象のマスコットです。古代インド人の世界観にある、象の上に乗った亀の上にある世界図をご存じでしょうか。山口には、不思議なことに亀山と象頭山という山があります。ですが、象というのは一頭では生きていけない動物。なので、象頭山を父親象に見立て、どうもんパークに母親象と子象を設置しました。子どもを育て、繁栄をもたらし、未来へつないでいこうという思いを込めました。実際には、子どもたちに「象さんスーパーへ行こう」とか「象さん歯医者へ」「象さん公園へ」と言ってもらえれば幸せです。このマスコットを見て、訪れる皆さんがほほ笑んでくれたらと願っています。
渡辺 にぎわいが出れば、商いも活気づくというスタンスは、とても好ましいですね。
郊外シフトから中心回帰へ
ヨーロッパのような在り方を
吉松 650年間続く山口市中心部は、間違いなく良いところ。病院、学校、役所、美術館、博物館などすべてがそろってもいます。ある時期から住宅や商業施設等の郊外へのシフトが始まりましたが、長いスパンで考えたら、必ずやまた回帰してくると考えています。
渡辺 戦後、郊外の住宅団地に30代、40代で出て行った人たちが、70代、80代になってその不便さがわかってきた。ただそう思った時に、中心部の基盤整備ができていなければ、受け皿にはなれない。また違った不満も出てくるでしょう。
|わたしなど、豊かな国・アメリカにあこがれて育った世代ですが、バブル崩壊以降の日本を見るにつけ、戦後の在り方は間違いだったのじゃないかとも思います。特に山口のように古くからの街並みが残っているような地方都市は、むしろヨーロッパのような在り方を目指すべきではなかったのだろうかと。
吉松 アメリカの都市は、物と物との交換場所から発展していったところです。逆にヨーロッパの場合は、街全体がパークで、その中に商業施設があった。
渡辺 アメリカは、モータリゼーションのさなかに発展した国ですから、クルマがすべて。歩く時間距離を、クルマに置き換えてしまいました。同じ30分でも「歩いて」と「クルマで」では、まるで違います。
吉松 中には「飛行機で」も(笑)。物欲というのは、本当にきりがない。生産者と消費者との交流を
付加価値は“心のぬくもり”
渡辺 日本がこれだけ成熟社会になると、これから追い求めるものは「心」ですよね。中心市街地も、潤いとか楽しさとか美しさとに接することのできる場所にしていきたい。また、消費者の立場で考えると、食の安心・安全というのは最重要のキーワードです。さらには地産地消とも結びつけることはできないでしょうか。
有吉 生産者の方々に、中心市街地に目を向けていただこうとすれば、地産地消というのは、とても大切なキーワードになると思います。
―山口市は農業が盛んな県庁所在地です。生産者と消費者とが結びつきやすい土地柄では。
渡辺 農業産出額でいうと県内の15%程度を占めています。農業も小売業も、非常に地域に密着している産業。そのような意味でも、両者は共通点がありますね。
有吉 お金と物とを交換するだけでなく、地域の人々が買い物に来て心が通い合うような。また、生産者もその場に来れば消費者との交流が生まれるような、そんな場にしたいですね。
―支払う際、売る側も買う側もお互いに「ありがとう」という気持ちを持てるようになれば素晴らしい。
渡辺 これからの小売店における付加価値とは、“心のぬくもり”かもしれませんね。ネットショップではまねできない「子供をちょっと預かってあげましょう」とか、「郵便を出しておいてあげましょう」とか。
吉松 ほのぼの感ってこれから大事にしていきたいですね。
渡辺 みなさんのお話を伺っていると、中心市街地の活性化に向けて、やみくもにもうけに突っ走っていく「商業」中心ではなく、人間の生活を営み、織りなす空間としてにぎわっていく、そしてその中に商いも存在する。そのような良い街ができそうです。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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