2008年02月29日
2年がかりで作製「阿知須の方言」970語

「あんたぁ今日なぐれたのぉ」。この言葉の意味がわかるだろうか?「なぐる」は、主に阿知須で使われている方言で、「殴る」ではなく、「仕事が進まない」という意味。直訳すれば「あなたは今日仕事が進まなかったですね」ということだが、決してそのことを非難しているのではない。例えば、ある人に何かを頼んでやってもらった時などに使い、「途中で仕事の邪魔をして能率を下げてしまってごめんなさいね(ありがとう)」というねぎらいの意味が込められている。このように、阿知須地域で使われている970語の方言をまとめた冊子「阿知須の方言」(B5判、47ページ)が、このほど完成した。
冊子をまとめたのは、阿知須郷土史研究会(河野昌博会長)に所属する松尾博美さん、藤岡博さん、杉村勲さんら10人。漁家が多い小古郷地区で昔から使われている漁師独特の言葉が、漁業の移り変わりや後継者不足とともにほとんど使われなくなってきたことから、「今、このような言葉を記録しておく必要がある」と強く感じたのがきっかけだった。
メンバーは、2年間かけて各地区へ取材に出かけ、そこで話されている会話をこまめにメモするなどして情報を収集。毎月の会議で、各自が聞き込んだ方言を出しあい記録していった。会議のたびに「こんなのもあったで」と盛り上がり、作業は楽しく進んだという。完成した冊子は、「オシャラ(お手玉)」「キリツツ(コオロギ)」「コトコト(脇の下)」「コンノー(大きな魚をさばくこと)」といった名詞から始まり、「コツル(咳をする)」「アズル(てこずる)」などの動詞、「イヤシイー(雨が降って足元がじめじめしている状態)」「コワイ(食べ物の固いさま)」といった形容詞の順で編集されている。方言や土地のなまりは、使う人によってその発音が微妙に異なるため、アクセント表記は入っていない。また、漁家と農家の方言には、それぞれ頭文字のマークをつけ、一目でわかるようになっている。
このほか、慣用句やあいさつ文、さらに船乗りの会話なども紹介。河野さんは「広域化して、阿知須限定の方言はほとんどないが、昔からたくさん言葉の交流があったことがわかった。阿知須を出ていった人にも読んでもらいたい」と話している。なお、冊子は書店などでの一般販売は行われていないため、希望者は河野さん(TEL0836-65-2354)へ。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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