2008年03月02日
91歳のスイマー・小林さんの挑戦

「目標は、95歳でも世界新!」マスターズ水泳競技で8種目の世界新
2月13日に県庁で行われた「平成19年度後期メダル栄光(体育賞)」のメダル授与式で数多くの優秀な選手が集まる中、成績も年齢的にもひときわ目を引く“小柄なスイマー”がいた。年齢別マスターズ水泳競技で8種目の世界記録を持つ91歳の現役スイマー、小林五郎さん(大内御堀)だ。これまでに国内や世界の数多くの大会に出場。各大会で優勝や世界記録を塗り替えるなど、90歳を超えた今も輝かしい成績を残し続けている。
幼いころから泳ぐことがとにかく好きだったという小林さん。プールなどがない時代、毎日のように近くの海に行っては泳ぐ練習をした。中学生時代には水泳部を作って総合優勝にまで導いた。また、台北大学に入学後は台湾記録を更新したり、オリンピック最終予選で準決勝まで勝ち進んだりするほどの実力派だった。
そんな小林さんだったが、戦争を機に水泳から遠ざかることに。自身も出兵し、水泳ができない状況になった。戦後は混乱の中、大学で学んだ園芸と得意だった英語を生かしてアメリカの野菜関係企業に就職。その後、県農業試験場に再就職して定年退職まで勤めたが、その間も水泳とは縁遠い生活を送っていた。
再び水泳を始める転機が訪れたのは80歳の時。台湾で一緒に水泳をしていた仲間から久々に連絡があり、数十年ぶりに再会。「お前ならやれる!もう一度やってみないか」と仲間たちに激励され、今まで眠っていた水泳への情熱に火がついた。
毎日のように800メートルから1キロの距離を泳ぎ、81歳の時に出場したモロッコのカサブランカで開かれた「98年世界マスターズ水泳選手権大会」の80歳クラス・200メートル背泳ぎで3分42秒35を記録して初の世界新記録での優勝を果たした。それ以降も国内のみならず世界各地の大会に出場し、何度も優勝、世界記録を更新してきた。
年を経ても記録に挑戦する気持ちは全く変わらない。満89歳の時にアメリカのサンフランシスコで行われたマスターズ大会に出場し、50メートルと100メートル背泳ぎ(90歳から94歳)で世界新記録を達成。さらに昨年には、体力的に難しいとされる200メートル背泳ぎ競技(90歳から94歳)に挑戦し世界記録を30秒以上も更新する4分7秒85というタイムで見事、世界記録樹立を成し遂げた。91歳になった現在も毎日のようにプールに通い、最低でも400~500メートルの距離を泳いでいる。
「『やるのなら徹底的にやれ。努力をし続けていれば運は必ず向こうからやってくる』という母親の教えが自分の原点。95歳で世界記録を作り、100歳まで人が驚くようないい泳ぎをするのが今の目標」と小林さん。いくつになってもチャレンジ精神を忘れない小林さんのスイマー人生は終わらない。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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