2008年04月27日
図書館は第二の保健室 子どもたちでにぎわう附属小図書館

「おばちゃん、この本予約したい!」「何か面白い本ない?」―。全国的に子どもたちの活字離れが進んでいると言われる中、山口大学教育学部附属山口小学校の学校図書館にはたくさんの児童が訪れ、貸し出し冊数はここ4年間で10倍以上に増えた。子どもたちから“おばちゃん”と親しまれている図書館スタッフの杉田順子さん(55)と上村久美さん(47)は「図書館が子どもたちの“居場所”になっている」と笑顔をみせる。
多いときには、休み時間の度に足の踏み場もないくらいににぎわう同校の図書館。今でこそ子どもたちに人気だが、4年前には常勤のスタッフもいない薄暗い部屋に本がぎっしり並んでおり、近づこうという子どもは少なかった。
「あまりのひどさに、何とかしなければと思った」と杉田さんと上村さん。2人は、01年からPTAの読み聞かせボランティアの活動をしており、図書館に顔を出す度に「なんとかしてほしい」と学校に問題点を訴え続けていた。
そんな2人の熱意に押されて 04年、“図書館改造計画”がスタート。2人の知り合いだった児童文学評論家・赤木かん子さんのアドバイスを受け、本の整理や改装がなされた。絵本や学習漫画、物語といった種類別に陳列され、床にはカラフルなじゅうたん、テーブルクロスがかけられた机が置かれるなど、全体的にあたたかい雰囲気に。整然と本を並べるのではなく、所々表紙が見えるように配置したりと、興味をそそる工夫も至る所に施された。
すると、貸し出し冊数は徐々に伸び、以前は1カ月200冊ほどしか借りられなかった本が、現在では平均約2千冊に。昨年の10月には4678冊にまで増えた。
改装してから毎日、図書館スタッフとして業務を任されるようになった2人の存在も“居場所”としての図書館にプラス効果をうんでいる。子どもたちはことあるごとに「おばちゃん!」と呼びかけ、本の話だけでなく学校や家での出来事などさまざまな話をする。
今では毎日のように図書館を訪れるという重枝彩さん(10)は「おばちゃんはすごく優しいし、話しやすい。本のこと以外にもいろんなことを相談できる」と話す。
また、河村靖彦副校長は「学期目標を原稿用紙2、3枚分書いて読み上げるなど、同世代の子たちと比べて表現力が豊かになったよう感じる」と評価している。
まだまだ子どもたちに喜ばれる図書館づくりへのアイデアは尽きないという杉田さんと上村さん。「図書館は第二の保健室。子どもたちにくつろいでもらいたい。本を好きになってもらうには、まず図書館を好きになってもらわなければ」
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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