2008年05月30日
第27回西日本陶芸美術展 大和努さん最高賞受賞

作風変えての初チャレンジ
6/18~23
福岡市・天神岩田屋本館で展示
第27回西日本陶芸美術展(西日本新聞社主催)で、最高賞の西日本陶芸大賞に宮野の大和努さん(43)の「粉引彩六面捻花器」が選ばれた。実は今回、“意を決して”作風を変えての初チャレンジだったという大和さん。「知らせを聞いた時はまさに寝耳に水。本当にうれしかった」と満面の笑みを浮かべながら、冒険を成功させたことへの喜びをかみしめていた。
同展は、九州・山口・沖縄各県の在住および出身者を対象とした公募展で、これまで陶芸界をリードする数多くの作家を輩出。今回は、昨年を37点上回る248点の応募があった。
大和さんの受賞作「粉引彩六面捻花器」は、“萩焼の原点”にかえったシンプルな作品。得意とする多面形の造形に、釉薬と化粧がけで萩焼の伝統的なうす紅色の土味に四段階の色調変化を加え、審査員から「色彩表現と造形の美が一致している」と高く評価された。
「実は今回、落選覚悟だった」という大和さん。県無形文化財の大和保男さんの次男として生まれ、23歳で陶芸を本格的に始めた彼が、そのころから貫いてきた独自のスタイルを初めて変えたのだ。これまで、器にのせてきた炎や葉をモチーフにした模様を取り除き、萩焼の伝統的な土味やホタルの光のように斑点状に変色する「御本手」の出し方を追求。「20、30代のころは装飾が派手になりがちだったが、自分も年を重ねることで、シンプルの良さ、素朴さの中にある力強さがわかるようになった」と笑顔をみせる。
また、新しい作品を生み出せた理由に「同じ窯で仕事ができるだけで幸せ」という父の存在がある。「何歳になってもどん欲に上を目指し、伝統を守りながら新しさを追い求めてチャレンジする姿勢に自分も動かされた」と大和さん。今後はこれまでの作風も大切にしながら、萩焼の原点を見つめ直していきたいと意欲を燃やしている。
受賞の知らせを聞いた保男さんは、「名誉な賞をもらったことを励みにし、これからもさらに完成度の高い作品を求めて取り組んでほしい」とコメントを寄せた。
入賞・入選作品展は、福岡市中央区天神の岩田屋本店本館7階大催事場で、6月18日(水)から23日(月)まで開かれる。時間は午前10時から午後8時(最終日は午後5時)までで、入場無料。
18日午前9時からは会場で表彰式があり、11時からは、鈴田由起夫佐賀県立九州陶磁文化館副館長をはじめ、大賞の大和さんなど受賞者による作品解説も行われる。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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