2008年07月13日
実証運行5地域の現状 コミタクの存続に向けて 求められる“地域力”

ガソリン代の高騰が続き、全国的に公共交通の役割が見直されているなか、「公共交通は地域で創り育てる」という市の指針のもと、コミュニティタクシーの実証運行が始まって約半年。モデル地域に選ばれた小鯖、宮野、嘉川、小郡、秋穂の5地域では、1年後の本格運行実現に向けて懸命な取り組みが続けられている。
交通弱者の多い地域や交通不便地域の足となることに期待が寄せられている「コミュニティタクシー」。今までの「移動手段は行政が確保する」という姿勢とは違い、「公共交通は地域みんなで創り育てる」という新たな姿勢のもと、昨年の12月から小鯖、宮野、嘉川、小郡、秋穂の地域組織が運営主体となって順次実証運行を行っている。
しかし、どの地域も乗車数は当初の目標に達していないのが現状。1年間の実証運行後、一定の採算めどが立たなければ地域判断で運行断念となるという厳しい条件のなか、収支率は約20%から30%と、全体的に伸び悩んでいる。
「1年間だけやってやめるというわけにはいかない。交通弱者のためにも本格運行に向けて工夫して頑張りたい」と小郡地域の事業主体・サルビア号を育てる会の国安克行会長(69)は言う。同地域は5地域中1便あたりの乗車平均が約4人と最も多いが、収支率は26・7%と低迷。小郡と比べ人口が少なく、郊外を走るルートが多いその他の地域では、1便あたりの乗車人数は小鯖1・8人、宮野1・3人、嘉川と秋穂が1・6人とさらに少ない。
こうした現状をなんとか改善しようと各地域ではさまざまな試みを計画中。小郡では、利用促進のため5月に団地内の自由乗降を導入。14日にはルートとダイヤを改正するほか、少しでも運営資金を増やそうと企業や地域から協賛金を集めようと努めている。小鯖では7月に入ってからアンケートを配布し、アンケートをもとに利用促進策を考える予定。宮野ではフリー乗降の区間を延長したほか、停留所の増設、ダイヤの変更も検討している。そのほか、嘉川ではフリー乗降区間の改正、秋穂では便数調整の話し合いを行うなど、各地域で本格運行を実現させるため懸命な仕組みづくりが行われている。
また、5月からは各地域の事業主体が情報交換をしようと、合同で協議会も開催。今後も定期的に実施していく予定だ。
しかし、一方でいくら利用しやすい仕組みづくりを行っても地域の人たちの“持続させたい”という意識がないと難しいという声も。「車があるから自分は関係ない」という人たちが、非協力的なままでは利用者数に限りがあり、本格運行はできても、いずれ運営していくことは出来なくなる。
国安会長は「現在車に乗っている人の中には『将来乗れなくなった時になくなっていると困るので2回に1回は利用するよ』と言ってくれる人もいる。“地域で守り育てる”という意識をもって地域全体の協力体制をいかに作るかも存続のカギ」と話す。
市では実証期間中、赤字部分を全額補助しているが、本格運行後の補助率についてはまだ明らかになっていない。今後、市がどれだけ補助するかによっても、コミタクの存続は左右されそうだ。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
│ニュース