2009年03月21日
「むかしなつかしお手玉会」の中村信子さん

シニアの主張全国大会で最優秀賞
高齢者の豊かな経験や発想を社会に反映させようと活動しているNPO法人サンシティ宮崎主催の「第4回シニアの主張全国大会」の最終選考会がこのほど宮崎県であり、県児童センターで「むかしなつかしお手玉会」を毎月開いている中村信子さん(66)の作品「タンスにあった数珠玉」がみごと最優秀賞に選ばれた。
当日、60人中最終選考に残った7人は、大勢の観客を前にステージ上でそれぞれの主張(作品)を発表していった。6番目だった中村さんは、“いつものお手玉会の通りにやろう”と、皆が正装して淡々と発表していく中、一人だけ音楽を流しながらピエロ姿で登場。アシスタントの人形・ヒロちゃんを連れて「宮崎はどう?」「みんな元気でとってもいいとこだね~」と腹話術も披露し、会場を沸かせた。
登場の仕方とは一変し、中村さんは「母さんが亡くなった。眠るように…。熊本の姉からの電話だった」と、静かに作文を読み始めた。実家のタンスの整理をしていた時に見つけた数珠玉。母がお手玉を作るつもりだったのだろうかと涙がこぼれた。一粒一粒の実に入っていた母の魂。着物の片袖で六個のお手玉を作り仏壇に供えた。母のありがとうの声が、“お手玉を今の人たちに伝えていくんだよ”という声とともに聞こえてきた-と続けた。
中村さんは新聞で目にした「全国お手玉会」(神戸)に出かけ、 山口からの参加者が自分一人だったことから“山口県で伝承していこう”と決意。5年前、当時勤めていた湯田保育所でお手玉会を始め、今では県内外の保育所や幼稚園、小学校、病院、老人施設、結婚式などからも「来て欲しい」の声がかかるようになった。昨年4月からは定年退職を機に、場所を県児童センターに移し毎月第2土曜日の午後1時から2時まで実施。子どもからお年寄りまで、毎回30人程度が集まり「久しぶりに心から笑った」「生きるエネルギーをもらった」などと笑顔の輪を広げている。
世代をこえて受け継がれてきた日本の伝統文化・お手玉。母が残してくれた数珠玉をきっかけに、生きる喜びを伝えつづけている中村さん。「実は、何度も続けられるかと挫折しそうになったが、皆さんの喜ぶ顔に励まされてここまで続けられた。今回のような賞をいただき、何か目に見えないご褒美をもらった感じ。たった一度きりの人生だから、これからもいろんなことに挑戦して生きていたい」と笑顔で話す。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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