サンデー山口

▲新山口駅停車中の「みずほ」「さくら」用車両


▲山口観光コンベンション協会・鈴木克彦常務

　今年3月12日に九州新幹線が全線開通、新山口駅には「さくら」が上下線12本停車する。新大阪駅と鹿児島中央駅とが直通列車で結ばれることで、山口市の重要産業である観光業界にどのような影響が及ぶのだろうか。今後の取り組みなども合わせて、山口観光コンベンション協会の鈴木克彦常務に聞いてみた。（聞き手／サンデー山口社長　開作真人）

　―まず最初に、山口と鹿児島とが初めて直通列車で結ばれることを、どのようにして観光客増加につなげるのか、考えをお聞かせください。
　鈴木　すでに多数配布されている「みずほ」「さくら」紹介パンフレットの中には、鹿児島から広島・岡山までの所要時間は紹介してあるのですが、山口県内駅については、運行体系等記載が全くありません。実は、いまだに山口県内では対策委員会すら設置できておらず、出遅れは否めない。情報収集を急ぐとともに、鹿児島・熊本両県民に向け、他県の露出に負けないような観光ＰＲ投下が必要でしょう。また、宿泊がセットになった「レールプラン」の価格設定も、大きく今後に影響してきます。山口までのプランと広島までのプランの料金が同程度であれば「少しでも遠くへ」との心理が働き、素通りされてしまうので、ある程度の差額は欲しいところ。
　―団体客の確保については？
　鈴木　幸い、山口市は湯田温泉という一大宿泊拠点を抱えています。このことを最大限生かしていくためにも、列車利用者の多いコンベンション開催などを、しっかり働きかけていきたい。
　―鹿児島・熊本両県との、自治体や各種団体同士の交流にも期待したいです。
　鈴木　鹿児島とは、山口県観光連盟同士が姉妹盟約を結びました。それを機に、昨年11月2日には、山口市、山口商工会議所、湯田温泉旅館協同組合、コンベンション協会、一般市民からなる約30人で「おはら祭り」に参加し、踊ってきました。今後は商議所や観光協会同士の交流・連携を推進し、商工そして観光面での関係を深めていきたい。現在、鹿児島市での「山口物産展」開催に向け、商議所などと調整中。今後は熊本とも同様の取り組みを進めていきたいですね。また、中学生の修学旅行の行き来にも貢献していきたいと考えています。九州新幹線全線開通のメリットを、もっとも享受しやすい分野だといえるでしょう。
　―観光面での山口の魅力を増すためには「生かし切れていない」と言われるさまざまな観光資源について、プランニングが必要だと感じます。
　鈴木　現状は旅行者に対して「親切」とは言い難く、観光地の「メニュー化」が求められます。このほど、新山口駅、もしくは湯田温泉から観光タクシーを利用するテーマ別プランを約40コース作成しました。周辺市町も含む広域な地域の素材を生かす内容で、本年度中にパンフレットも出来上がります。マイカー等でも巡れるので、今後いろんな場面で提示していきたいと考えています。また、市内中心部にはベンチもたくさん備え付けてあり、のんびりとぶらり歩いて散策してもらうことも提案していきたいですね。