サンデー山口

幼い頃から工房が遊び場という環境で育った大内塗塗師の3代目。「伝統工芸士がいる他の産地と肩を並べたい思いがあった。全国を舞台に大内塗を発信していくためにも価値のある資格だと感じている」
　昨年10月に伝統的工芸品産業振興協会認定の伝統工芸士試験に挑戦。12月に合格を果たした。「肩の荷が下りた」と率直にその時の気持ちを話す。
　山口ふるさと伝承総合センターの大内塗工房を受託する同氏は、小学生から一般、観光客まで、幅広く体験教室を開催。これまでも大内塗の啓発活動に尽力してきた。
　「大内塗にはたくさんの工程があり、目に見えない地味でつらい作業も多い。でも、だからこそ仕上がった時の作品への愛着と喜びは大きく、魅力となっている。職人の世界は終わりがない。今後も一生勉強」

1950年10月、竪小路生まれ。60歳。
大学卒業後、74年に山口に戻り、父親の下で修業。
現在、「冨田大内塗」3代目として活躍する傍ら、大内塗漆器振興協同組合の理事長も務める。