サンデー山口

　気象庁が「経験したことのないような大雨」と表現し、「直ちに命を守る行動を」と呼び掛けるに至った28日の記録的豪雨。市内では阿東地域に家屋の倒壊・流出といった甚大な被害がもたらされたほか、市街地でも冠水などの被害が出た。29日現在の被害状況をまとめた。

　「川の水位が急に高くなり、1時間もしないうちにはんらんして家や車、道路やリンゴの木があっという間に流された。こんな経験は初めて」
　ＪＲ鍋倉駅近くに住む62歳の男性は、集落が濁流にのみ込まれた時の様子をこう語った。
　阿東徳佐では、28日に324ミリの雨量を観測。これは観測史上1位で、7月の平年値を超える雨がわずか1日で降った。国道9号や国道315号などは通行止めになり、阿東嘉年地区の一部世帯が孤立。十種ヶ峰にキャンプに来ていた仁保、平川子ども会のメンバー計97人らが現地に取り残され、29日に自衛隊のヘリコプターで救出された。船方農場（阿東徳佐下）では、施設内には大きな被害はなかったという。
　また、阿東地域の約2千世帯が断水。復旧のめどが立たず、市は阿東地域交流センターなどに給水車6台を配置して対応した。願成就温泉センター（阿東徳佐上）では、断水地域の住民を対象に浴場を無料開放（午前9時～午後8時）。停電は阿東嘉年下と阿東徳佐下の539戸、電話も阿東嘉年地区の約270回線が不通となっている。
　一方、大内、白石、湯田、吉敷、平川、大歳地区でも床上、床下浸水。湯田温泉の「西の雅常盤」では玄関付近に大量の雨が流れ込み、駐車場も約30センチ冠水。ＹＣＡＭ（山口情報芸術センター）10周年記念祭の一環として市中央公園で開催されていた「コロガルパビリオン」も展示を中止。きょう31日から再開される予定だ。