サンデー山口

　山口市出身の詩人・中原中也（1907～37年）について深く知ってもらおうと、市内の中学生向けに編集された副読本「出会い？　発見?!　感動!!　中也読本」が完成し、このほど市内の全中学校に配布された。
　2月に開館20周年を迎えた中原中也記念館（TEL083－932－6430）の記念事業の一環。学校での授業などに加えて、自宅に持ち帰って読んだり、卒業後も本棚に並べたりしてもらえるような冊子を目指し、市内の公立中教諭らが編集した。
　四つの章からなり、中也の詩30編が取り上げられた。まず「知っちょる？　中也」では、詩集「山羊の歌」に収録されている「帰郷」と、ブランコがゆったりと揺れるリズムを「ゆあーん、ゆよーん、ゆやゆよん」と表現した「サーカス」の2編の詩が掲載。旧制中学時代の中也や生家の様子などが紹介されている。
　続く「読んじょる?!　中也」「深いね！ 中也」は、軽妙、四季、愛惜、生きるといったテーマに基づいた28編の詩で構成されている。最後の「もっと知りたい！　中也（資料編）」では、市内中学校図書委員に好きな中也の詩を聞いたアンケートの結果をまとめている。一番人気だったのは「サーカス」で、以下「汚れつちまつた悲しみに……」「帰郷」と続く。年表や関連書籍の紹介もあり、中也の詩の世界や生涯を詳しく知ることができる。
　さらに、詩人の谷川俊太郎さんと文月悠光さんのエッセーも載せられている。
　Ｂ5判、64ページで、1万5千部が印刷された。