サンデー山口

　「文芸山口」で2年2カ月にわたって連載した小説「天命の人―俊乗房重源の生涯」を、このほど書籍化した。徳地の木材を使って東大寺の再建に尽力した重源の生涯を、史実に基づいて描いた小説だ。
　重源に関心を持ったのは「自分の人生と重なる部分があったから」。自身は60歳で大学教授に転身したが、「重源も61歳から役職をもらって25年もかけて東大寺の再建という大事業を成し遂げた。そのバイタリティーはどこから生まれたのか、興味があった」という。その後、親類や友人から重源に関する資料を手に入れる機会にも恵まれ、研究に没頭した。「源平の争乱が起こる中で、再建への使命感に駆られてまい進する重源の姿に驚きを覚えた」
　早くも次回作に意欲を見せる。「宗像大社と大陸との関係を調べてみたい」と笑う。

39（昭14）年11月、中国・北京市生まれの75歳。山口大経済学部卒。総合商社に入社後、ニューヨークなど海外勤務を重ね、00（平12）年に山口大経済学部教授に就任。10（平22）年から「文芸山口」編集同人。