サンデー山口

　私は、近頃友人にこんな質問をしている。
　「子どもを育てるのに一番大切なことは何か」
　質問された友人達は、最初ギョッとした顔をし、それから遥か彼方を見つめる目をし、ゆっくりと答え始める。一言の人も、饒舌に話す人もある。
　答えを少し紹介しよう。 Ｔさんは「親より先に死んではいけない。これより望むことはない」。Ｕさんは「子どもに対する時の、両親の意見の一致が大切だと思う。私の両親は、いつも私の前で意見の衝突を繰り返していた。私はそれが嫌だった」。Ａさんは「ありのままの自分で接することだと思う。私は、スポック博士の育児書を信奉して実践した。本には、自立心を養うためには、子供は親と別 の部屋で一人で寝かせることが大切だと書いてあった。それで、どんなに子どもが一緒に寝たいとせがんでも、一人で寝かせた。その時の私の気持ちは、子どもを抱きしめて一緒に寝たかった。でも、その気持ちを殺して子どものためと思って実践した。辛かった。そうまでしたスポック博士の育児方法が、今は否定されている。自分の気持ちのまま育てることが自然だと思う」。Ｄさんは「18歳までは理不尽であっても親の考えを通 すことが良いと思う。自信を持って導くこと」。
　私は、利己的な親の愛、言い換えれば、がむしゃらな子を思う親の心が、子を育てるのではないかと思う。
　友人達が一様に口にしたのは、「自分達が未熟だったことを子どもにわびたい」という言葉だ。