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2003年07月31日

遺伝子

 私は遺伝子の話が大好きだ。たった4種類の塩基(アデニン・チミン・グアニン・シトシン)で人間は裸にされる。こんな楽しいことがあろうか。  
 私とは何者か、と長い間、頭の隅で考え続けている。これがわかれば楽になれると思っている。全部遺伝子のせいにすればいい。オリジナルの私なんていないと思えば楽になるというもの。私の罪は消える。例えば、私は、毎日2合の酒を飲む。やめたいと思っているが、やめることができない。なぜか?
 ”興味深いのは、酒好きのラットの脳内では、幸福の神経伝達物質であるセロトニンの生成が異常に少なかったことだ。だから、彼等がアルコールを好むのはひょっとして、脳内のセロトニンのレベルを普通と同程度まで引き揚げる試みなのかもしれない。だとすると…”(いじわるな遺伝子より)
 だとすると、の後は…のみで書いていない。これを私なりに続けると「酒を飲むことがやめられない私は、幸福の遺伝子が少ないのだ。脳内の快楽センターを機能させるには、飲み続けるしかないのだ。やめられないのは私の意志の弱さではない。幸福の遺伝子の多い人が禁酒を叫ぶのは、おこがましいというもの」。
遺伝子 谷川俊太郎 
 もっとも小さな秘密
 私が私であることの
 あなたがあなたであ
 ることの(後半略)
 また混乱する。私は遺伝子の川の中にいるだけなのに。私が私であることって? あなたがあなたであることって? 私は何者!


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)おんなの目
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