サンデー山口

　「アムステルダム駅にあなたに瓜二つの人がいたわよ」という知らせが友人から届いた。行かねばならないと、急いで荷物をまとめて旅に出た。ゴレ島への旅はこの次にしょう。
　というのは、嘘。５月のカレンダーをめくったら、一面のチューリップ畑が現れた。色とりどりの花が青い空に浮かぶように咲いていた。オランダのキーケンホフ公園だ。行きたい！
　一緒に旅行貯金をしているＫさんに電話した。「オランダに行こうよ。５年間積み立てたお金も、ちょうど行くことができるくらい貯まっているからどう？」「行こう！　そこまで行くのならベルギーにも行こうよ」。ということで、オランダ・ベルギーの旅に昔でいえば初老の二人は出かけた。日程は６泊７日。アムステルダム、デルフト、アントワープ、ブルージュ、ブリュッセル。そしてアルデンヌ地方。
　２国共通のキーワードは、大きいということと美しいということ。ガリバー旅行記の巨人の国のモデルはオランダと聞いたことがあるが、それを裏付けるように女性の平均身長が１７５㌢。山のない平坦な国なので自転車が利用されている。自転車優先で、人とぶつかった時は人が悪い。自転車に乗ってみたいと貸し自転車の店をのぞいてびっくり、車輪が私の肩まであるのだ！　乗れない。目当てのキューケンホフ公園は世界一の広さと美しさを誇る花公園。麗しさの秘密は、色彩感覚。例えば、同じ花壇に紫と黒のチューリップの取り合わせ。航空写真で色彩を点検するという。Ｋさんと私は花の香りに身体中むせて、無口になっていた。