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2005年01月19日

石垣りんさん

 昨年の暮れ、詩人の石垣りんさんが亡くなられました。石垣さんは、1920年東京生まれ。山口県にも何度かおいでになり、私は遠くからですが講演を聞きました。もう、どんなお話しだったのかも忘れてしまいましたが、そのお名前どおり凛となさった方でした。それだけは、はっきりと記憶にあります。
 石垣さんの訃報の載った新聞を見た日、近くの本屋さんで石垣さんの書かれた本、「ユーモアの鎖国」を見つけました。早速買い求めて、裏表紙にあった石垣さんのキリリと引き締まったどちらかというと古風なお顔を眺めながら、ページをめくりました。エッセイと詩の交じり合ったもので、言葉の滑らかな、そして考え抜かれた表現を辿っていると「新年」という詩がありました。ちょうど今にふさわしいので書いてみます。
   「新年」
それは昨日に続く今日の上
日常というやや平坦な場所に
言葉が建てた素晴らしい家、
世界中の人の心が
何の疑いもなく引っ越して行きました。
 新年のはがきに刷りこむので8行以内、期限は5日、そういう制約で依頼された詩だったそうです。前述の詩を送ると、依頼主は「あの詩は適当でなかったので、他の方のを使いました」という返事。陽の目を見なかった詩なのですが、いい詩ではありませんか。2005年に私も何の疑いもなく引っ越して来ました。経済という発展ではない何かを信じて。


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)おんなの目
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