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2005年03月16日

呼び名

トミ子さんが孫の隆志君を保育園に迎えに行くというので一緒に行った。歩いて保育園のフェンスまで来ると、園庭にいた小さな子供達が一斉に走ってきて、「トミ子さーん」と呼んだ。私はびっくりして「なんなの?」と聞いた。トミ子さんは「隆志が私のことをトミ子さんと呼ぶので、それを皆が覚えて同じように私を呼ぶのよ」と言った。「あなた孫にトミ子さんと呼ばせているの」と私は又、びっくり。その間も可愛いトミ子さんコールはひっきりなしに続いた。「おばあちゃん、じゃないの」と聞くと「年寄りみたいじゃん、嫌なの」とトミ子さんは花柄のフレアスカートの裾をひるがえしながら言った。カッコイイ!
 私は祖母を「おばあちゃん」と呼んでいた。その頃の祖母の歳を数えてみれば現在の私より若い。おばあちゃんは田舎に住む農婦だったので、随分年寄りに見えた。抱かれると絣のモンペから日なたの草の匂いがした。おばあちゃんは、のろまで頭の回転の鈍い私を認めてくれた。そして気のきく大人びた子供を否定してくれもした。大好きな田舎のおばあちゃんが私を誉めてくれるのだから、町に帰って学校に行って、先生に顔をしかめられる理解力しかなくても生きていけた。底になにがしかの自信を持って育っていけたのだ。
 私は「おばあちゃん」という呼び名に憧れる。おばあちゃんが私にしてくれたように、子供の心にどっしりとした「おばあちゃん」の心を置いてやりたい。「おばあちゃん」という呼び名には、命の静かな祝福がある。


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)おんなの目
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