2005年04月20日
若草色のスーツ
A町の目抜き通りにステキなブティックがある。その町に行くと私は必ずその店のショーウインドーを眺める。見ているだけで気持ちが華やいでくるのだ。いつも季節を先取りした衣装を、小さな顔のマネキンが着こなしている。先日見たら、柔らかい芽吹いたばかりの双葉を思わせる若草色のスーツを着ていた。マネキンの顔には目鼻が作ってないが、「私は美しいでしょ」と得意気になっているのがわかる。ない鼻がツンと上を向いていた。
眺めるようになってもう数年になるが一度も中に入ったことがない。ちらりと見た値札があまりにも高額だったので、買うなどということは思ったことがなかった。なのに、若草色のスーツには心惹かれ、欲しい、買いたいと思った。衿と袖口、スカートの裾に若草色より少し濃いグリーンのサテンで縁取りしてあるだけの単純なデザインだが、品がよく魅力的だ。値段はわからないが、多分初任給の2、3か月分くらいだろうか。
清水の舞台から飛び降りる気で、買おうと思えばクレジットでもいいし、貯めてから買うという手もある。しかし、一番私を躊躇させるのは、着て行くしかるべき場所がない、ということだ。若草色のスーツを着てなにかをするような場を私は長い間持っていない。買ってタンスの中に吊るし、眺めて満足するという趣味はない。洋服は着て働くものだ。今の私に必要なのはセーターとズボン。これで力を発揮できる…はずだ。若草色のスーツを着るような晴れがましい場所も私は好きなのだが…。
眺めるようになってもう数年になるが一度も中に入ったことがない。ちらりと見た値札があまりにも高額だったので、買うなどということは思ったことがなかった。なのに、若草色のスーツには心惹かれ、欲しい、買いたいと思った。衿と袖口、スカートの裾に若草色より少し濃いグリーンのサテンで縁取りしてあるだけの単純なデザインだが、品がよく魅力的だ。値段はわからないが、多分初任給の2、3か月分くらいだろうか。
清水の舞台から飛び降りる気で、買おうと思えばクレジットでもいいし、貯めてから買うという手もある。しかし、一番私を躊躇させるのは、着て行くしかるべき場所がない、ということだ。若草色のスーツを着てなにかをするような場を私は長い間持っていない。買ってタンスの中に吊るし、眺めて満足するという趣味はない。洋服は着て働くものだ。今の私に必要なのはセーターとズボン。これで力を発揮できる…はずだ。若草色のスーツを着るような晴れがましい場所も私は好きなのだが…。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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