サンデー山口

　私が通っている「文章教室」の先生が、先日、要約すると、こんなことを言われた。「皆さん、そろそろ人生も終わり近くなりましたね。私はひとつまとまったことをしたいと思います。私の興味のあることは、“からだ”。命を産みだす身体です。皆さんは何に興味がありますか。興味があることを徹底して追求して、調べて、一つの作品にすることをして下さい。そうしないと命の終わりに間に合いませんよ」。そうだよなぁー、と平均年齢70歳近い生徒たちが感じ入って聞いていると一際大きな声で「気にいった、泣けた、美しい、感激したとかそういう、ちょっとした思いつきで文章を書くのではなく、腰を入れて真剣に書いてみて下さい。教室に何年通っているのですか。皆さんはお金持ちなのでしょうが、月謝分の作品は書きなさい。お金が取れる文章を書きなさい。もったいない」
　私はもう10年近く受講している。全部思いつきを書いた底の浅い作品ばかりだ。気に入った作品もあるけれど、大したことはない。今までにかけた月謝と交通費はどのくらいになるだろうか。バブル期の男性の半年分の夜遊びの金額には、及ばないと思うが…。
　さて、私の一番関心のあることは何だろうか。先生が命の入れ物の“からだ”なら、私はその“命”に興味がある。延々と続いてきた命。様々な過去からの伝言を組み込んだ命。命は循環している。では私は何者か。過去の命をただ積み上げた者なのか？　私が私たるものは何か？先生、書けそうにありません！