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2006年03月15日

私の脳

 朝起きたら両手が痺れていた。動かないということはないのだが、腕全体がダラリと重かった。だいぶ前から時々こういうことはあったのだが、きょうのは一段と強い。これは、絶対脳の中がどうかなっているのだ、と考え病院に行った。脳の断面図を撮った。
 私の脳の写真を見ながら先生は「隠れ脳梗塞もありません。きれいな脳です」と言った。私は胸をなで下ろしながら、眼の前に広げられた脳の写真に見入った。小型の腸のようなものがぎっしり詰まっている黒っぽい硬い脳で、叩けばカチンカチンと音がしそうだ。テレビで脳の断面図を見たことがあるが、とても柔らかそうだったのに…私の脳は機能しているようには見えない。死んでいるみたいだった。
 実際、問診票の欄に“今まで手術をしたことがありますか”とあったので、「盲腸」と書こうとしたら字がわからなかった。わからないというよりも、字は思い浮かんだが、なぜ盲腸という腸の一種に、目に関係のある盲の字が使ってあるのか、疑問に思ったのだ。間違いのような気がして、書けなかった。 
 帰宅して辞書を繰った。「盲」の亡は手足を折り曲げている死者の形であるが、仮借として、ない、なしの意味に用いる、とある。そうか、盲腸は身体には、とりわけ必要ないものと聞いている。それでこの字が当てられたのだろう。いつか知識人に聞いてみたい。今まで疑問に思わずにただ暗記していたのだ。なのにどうして病院で突然そんなことを考えたのか。私の脳は壊れているか?


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)おんなの目
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