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2006年05月03日

決して刺さないけれど

 部屋の中で家具の位置を変えていたらタンスの後ろにクモがいた。あら、としばらく見ていたが動かないので抜け殻かと思い、後で掃除機で吸い取ろうとそのままにしていた。しばらく机や衣装ケースを重ねたりしていたら、クモがタンスの後ろから前の方に10㌢くらい出てきていた。抜け殻ではなかった。なんという種類のクモか知らないが、全長6㌢くらいで、手足は細く長い。体色はこげ茶色。腹が体に比べて異常に太い。ビー玉をつけているような丸さだ。
 私はベッドを解体していたので、手にネジ回しを持っていた。十文字に切り込みのある尖った先がついている。
クモの丸々とした腹を刺したらどんな感触だろうか、と何度も思った。自ら刺したい、とは考えなかったが、地震でもきて、思わずクモの腹にネジ回しが刺さってしまったら…不可抗力だ、とは思った。クモの腹からなにが飛び出すか。クモはじっと動かず、刺すなら刺してみろ、という迫力はなく自然だった。静かに体をタンスに寄せていた。
 命あるものを殺してはいけない。誰も他のものの命を奪ってはいけない。私は、何度か青虫を踏み潰したことがある。足の下でパリと皮がはじけ、私の全身にグニャリとした気味の悪い感触が走った。人生も最後の章にさしかかるこの頃になると、青虫を殺したことも心の傷になって、後悔とともに思い出す。
 それでも、クモのぷっくりとした腹は魅力的だった。ネジ回しを持って私は部屋を走り出た。


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)おんなの目
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