2006年05月17日
三大責任
現在東京在住の中学時代からの親友Tさんが、親戚の葬儀のために帰郷した。死者は98歳の長寿を全うされた方だったので、悲しい葬式ではなく親戚一同が久しぶりに揃った懐かしい回想の場となったという。
なにもかも終わった後、Tさんと私は2日間の旅に出かけることにした。「どこに行く?」と私が聞いたら「広島に行きたいわ。広島の原爆ドームも資料館も見ていないのよ。沖縄、長崎、広島を訪ねることは国民の義務だわ。三大責任よ」と言った。いつもは暢気でテニスばかりしているTさんがそう言ったので、私はちょっと変だと思い「何かあったの?」と聞いた。葬儀の席でTさんの親戚の人たちが語る思い出話は、戦前、戦中、戦後の苦労話ばかりだった。知らないことが多かったので、これからそういうことを勉強しようと思い、事始に原爆資料館を見ようということなのだ。もちろん、三大責任なんて大袈裟なことは思わないが私に異存はない。
広島のホテルでTさんが「親戚の者から聞いたのだけれど、祖父が巣鴨の刑務所に戦犯として入っていたのを知らなかったわ」と言った。これには私がびっくり。私はTさんの家に遊びに行った時彼女のお婆さんから、巣鴨に入っていた夫に和歌を詠み、その中に自分の気持ちを密かにおり込み伝え合った、と聞いていたからだ。Tさんは「いつもお婆さんとあなたは長いこと話していたわね。私は祖母の話が鬱陶しくてあまり聞かなかったのよ。聞いとけばよかったわ」と言った。もう誰もいない。
なにもかも終わった後、Tさんと私は2日間の旅に出かけることにした。「どこに行く?」と私が聞いたら「広島に行きたいわ。広島の原爆ドームも資料館も見ていないのよ。沖縄、長崎、広島を訪ねることは国民の義務だわ。三大責任よ」と言った。いつもは暢気でテニスばかりしているTさんがそう言ったので、私はちょっと変だと思い「何かあったの?」と聞いた。葬儀の席でTさんの親戚の人たちが語る思い出話は、戦前、戦中、戦後の苦労話ばかりだった。知らないことが多かったので、これからそういうことを勉強しようと思い、事始に原爆資料館を見ようということなのだ。もちろん、三大責任なんて大袈裟なことは思わないが私に異存はない。
広島のホテルでTさんが「親戚の者から聞いたのだけれど、祖父が巣鴨の刑務所に戦犯として入っていたのを知らなかったわ」と言った。これには私がびっくり。私はTさんの家に遊びに行った時彼女のお婆さんから、巣鴨に入っていた夫に和歌を詠み、その中に自分の気持ちを密かにおり込み伝え合った、と聞いていたからだ。Tさんは「いつもお婆さんとあなたは長いこと話していたわね。私は祖母の話が鬱陶しくてあまり聞かなかったのよ。聞いとけばよかったわ」と言った。もう誰もいない。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
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