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2006年09月30日

後悔 2

 〝進軍の早いしかも奥地に向っている軍に対しては兵糧は到底輸送し切れなかったしその費用も大変なものであったから、前線部隊は多くは現地徴発主義で兵を養っていた〟
 Mさんにこの本を貸す前にもう一度読んでみようとここまで読み進んだとき、私は「あっ」と思った。丁寧にゆっくりと読んできたから、南京へ向かう部隊の苦悩が身体の中に染み込んできていた。私も軍と一緒に進んでいた。だから〝現地徴発〟の文字を見た時大きな後悔の念が身体中に広がっていったのだ。悪いことをした、と思った。
 私は十年くらい前、親戚のおじさんから南方の最前線で戦ったという話を聞いた。その時なにげなく「おじさん、人を殺したことあるの」と聞いた。白髪を短く刈り込んだ色の黒いおじさんは、「人は殺しちゃおらん。徴発で土着民の飼っていたブタを殺したことはあるけれど…」と大声で言った。私はその声に容易ならぬものを感じて、人を殺したことがあるか、などと、戦争のことを何も知らない者が正義面をして無神経に聞いたことを恥じた。本の中に〝現地徴発〟の文字を見た時、あのおじさんの大声と顔を思い出し、今、一度あの日のことを後悔した。
 〝それと同時にだ、われわれが如何に支那全土を占領しようともだ、彼等を日本流に同化さすなんどということは、夢の夢のまた夢だ〟
 ちなみに、この4行は、昭和13年に発表されたときに伏字であった沢山の文章の中で私が一番印象に残っているところだ。


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)おんなの目
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