サンデー山口

　

海岸を散歩すると、稀に南の国から波濤を越えてはるばる山口県までやってきた、植物の種や実を見つけることがあります。ココヤシ、ゴバンノアシ、モモタマナ、ヒルギ類など山口県内には自生していない種ばかりです。その多くが東南アジアの熱帯地域からの贈り物で、はじめ黒潮に乗って北上し、トカラ海峡あたりで対馬暖流に乗り換えて九州西岸を通り、山口県に流れ着きます。種や実が海流に乗って運ばれるためには、海水に浮くための仕組みと塩分に対する抵抗性を持っていなければなりません。殆どの種や実が分厚いコルク層や空気を多く含んだ繊維質の層をまとっているのはそのためで、1年以上も大海を漂流することもあります。しかし、海に流れ出た種や実が、無事新天地にたどり着き芽を出せる確率はとても低いと考えられています。博物館では、4月21日からスポット展「南国の海と浜辺の植物と…」を開催します。ご覧ください。

県立山口博物館 学芸員 嶋村拓実