サンデー山口

　毎夜、寝床の中で寝る前に手を合わせてお詫びをする。誰に？　八百万の神々やそこ等に蹲っている妖怪、魔物などに。なんと言って？　“今日も無駄に食べて飲んでしまいました。なんにも世の中に役立つことをしなくてすみません。お許しください”。それから熟睡する。
　私は、世の中の為になることを考えたり（発明等）、行動（海外協力隊に参加したり）をしたいと殊勝に思うこともあるけれど、できない。何故か？能力がないからである。　
　作家の名前も本の題名も忘れてしまったが、帯に書かれていた文句は、覚えている。
　―私はこれまで知識は売ってきたが、感情は売らなかった―。多分著者は大学教授だった。これを私に書き換えればこうなる。―私はこれまで感情を売って（売れたことはないが）きたが、知識は売らなかった（売るべき知識がない）―
　私は、感情で物事を見てきた。病の人や動物を見て助けてあげたい、と思う気持ちはあるが、実行する力を持っていない。不甲斐ないのだ。
　人間に住まいを奪われた妖怪や魔物達が目を見開き、耳をそばだて復讐の機会を狙っている。だから毎日許しを乞う。私と同じ日々を送っている暢気な友人達の平穏な明日の為に。