サンデー山口

　私は山口線の列車に乗った時考えることがある。
　もし、ここに狂気の男（女）が武器を持って現れ、閉じ込められた場合生き抜くことができるだろうか？　犯人の要求は何か？　世界各地に捕らわれている政治犯の釈放か、社会的貧富の差の拡大に怒り凶行に及んだか、自分の才能に絶望し犯行を決意したのか。幸せそうな乗客を見ていて発作的に、または心身を病んでいる…。原因は幾らでも考えられる。老若男女可能性がある。
　食料は？　自分の持っている食べ物を調べる。酢昆布にチョコレート半分と飴数個。水気はない。３日生存できるか？　凶器が爆発物だったら脱線するだろう。横転したらどうする、非常口はどこだ。煙が出た場合匍匐前進で辿り着けるか？　
　隣席は女子高校生。桜色の頬で眠っている。彼女を助けなくてはならない。若い生殖能力のある人を生かすのは人類の使命だ。女生徒に私の食料を全部あげる。彼女を励まし危険が及べば身を挺して救おう。痛いのは嫌だけど…。人を押しのけて脱出したらどうしよう。だからこそ想像して行動を確認するのだ。いざという時凛々しく闘志を持って生き抜けるように。私は臆病者なんです。
　そんなことを忙しく考えつつ今日も山口線に乗っているのであります。