サンデー山口

　先日の寒い日、６０代後半の女性５人と話していたら全員がこう言うのだ。「朝起きても気力が湧いてこないんだよね」「自分がカラッポのような気がする」「今まで信じてきた規範が嘘だったのではないかと思うのよ」。もちろん私も同感。というより率先して無気力状態。なんなんだろう？　私達ってどうしたのかしら？
　本屋で手に取った雑誌の中に“立ちすくむ現代”（佐伯啓思著）という次のような文章があった。
　しごく当然と思われてきた価値が無根拠であることが明らかになり、信念の体系が崩壊する。これがニヒリズムだ。するとどうなるか。われわれは物事を評価するための順序づけができなくなってしまう。何がこの世で大事なことなのか、次は何か、そういう順序づけが難しくなる。すると人生の確かな意味もよくわからなくなり、人生や世界を統一的にみることができなくなってしまう。（略）ニーチェは、ニヒリズが来るべき時代の最大の問題であり、これは文明の「病」だと述べた。
　なーんだ。私達って「文明の病」だったんだ。ニーチェのことはなんにも知らないけれど、心のモヤモヤを明らかにしてくれて、ありがとう。ところで処方箋は？　また頭を抱えねばならない！　助けてニーチェ。