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2011年08月24日

夏の耳

 家の中で蝉が鳴いている。柱の上? 飾り皿の裏かしら。洗面所? いや、ベッドの下だ…右、左? わからない。2年前突発性難聴になり右耳が聞こえなくなってから、ものの位置がつかめない。音の震源地がわからない。
 部屋の中に座っていると、蝉の声が至る所から聞こえてくる。右の窓辺かな、と見るといない。突然、天井から聞こえてくる。あら、と思って見あげると、戸棚の奥から鋭く聞こえる。蝉は外の木蓮の木で鳴いている。
 先日の真昼。暑さにぐったりとしてベッドに転がっていたら、横の本棚からピッピッという鳴き声が聞こえてきた。えっ、小鳥? どこだ、挟まって動けないなら助けなくっては、と立ち上がると声は廊下からする。出てみると机の下で鳴いている…。
 これは耳のせいだ。いつもの聞こえ方だ。左側から聞こえるということは、鳴き声は右側だ。経験からわかる。何故か反対側から聞こえることが多いのだ。友人と救急車の音をめがけて一斉に走ったら、私は左に友人は右に向かったことがある。
 静かに心を落ち着け鳴き声を辿ると、部屋の右側の窓の庇に握り拳くらいの黄色の鳥がいた。嘴を天に向け鳴いていた。会えましたね。
 夏は開け放った窓から、色々な音が聞こえてくる。私の夏の耳は忙しい。


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)おんなの目
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