サンデー山口

　３月となった。今冬の寒波のきびしさは格別で、三寒四温のことばどころではなく、腰をおろした寒波は東北地方から裏日本の山陰まで吹雪の日がつづいた。だが暦の上では立春を過ぎると春となる。
　もちろん寒い日はまだつづき、東北・北海道では５月にならないと本格的な春は体感できないというから去年からの災害復旧にいらだつみちのくの余寒は去るどころかきびしいであろう。
　寒さの北風を払い除けるごとく萩市の阿武川河口ではシロウオ漁がはじまり四ッ手網が季節感をたぐり寄せるように操作されはじめた。
　萩ばかりではない、岩国の錦川河口、防府は佐波川河口などでも早春の河岸にシロウオ漁の四ッ手網が点在する。
　シロウオは卵とじ、吸い物、天ぷら、シロウオ飯にするが、鉢の中でシロウオを泳がせポン酢で食べる跳り食いがあり、関東ではシラウオの暴れ食いとなる。
　歌舞伎の「三人吉三」の一節「月もおぼろに白魚の篝もかすむ春の空」は江戸時代に隅田川で行われたシラウオ漁の情景でシロウオでない。
　山口市内の料亭でもシロウオ料理はこれからの季節料理で跳り食いもできる。
　余寒に食感を重ねる日が到来。（Ｆ）