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2012年04月04日

私の生き物たち

 “うたの動物記”(小池光著)という楽しい本をみつけた。著者は著名な歌人。
 拙作の「おんなの目」で書いた生き物たちを名歌人達は、どのように歌っているのか。紹介したいと思います。昨年夏に書いた金魚、3月9日掲載の首巻にした狸、先日の鰻。かつては定番であった猫。拙い私の生き物達を秀逸な歌で補ってください。
 円形の和紙に貼りつく赤きひれ掬われしのち金魚は濡れる  吉川宏志
 水の中にいる金魚、あれは濡れてなんぞいないのだ。掬いあげた瞬間、ぽたぽたと濡れている。すごい着眼。
 少年のわれ通るたびに砂撒きしかの古狸いかになりしか  前登志夫
 森の中を行くと、ときに砂が降ってくる。タヌキの仕業だ、と言い慣らされてきたらしい。雨かんむりの下に「狸」と書くややこしい漢字(霾)があるが、その訓は「つちふる」である―以上著者。これくらいの学識がなければ文章は決まらないのである。私は深く頭をたれる…。
 石麻呂に吾もの申す夏痩せによしといふ物ぞ鰻漁り食に 大伴家持
石麻呂は夏痩せ。君、鰻を食べたまえ。うなぎは古くは「むなぎ」。
 肛門を最後に嘗めて眼を閉づる猫の生活をわれは愛する  小池光
 その舌で私の顔を嘗めていた私の愛しい猫は死んじゃった。


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)おんなの目
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