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2012年12月12日

手本

 喉が痛くなった。鏡で喉の中を覗いて見たら、喉仏やその周辺が赤くただれ、赤い小さなぼつぼつが10個くらいできていた。その粒の先には、白い膿のようなものがちょこんと付いている。飲み込みが悪く、微熱がある。少々不安だったので、友人に大きく口を開け喉を見せたら「気持ちが悪い、早く病院に行った方がいいよ」と言われた。
 病院、確かにそうである。不安も解消するだろうし、身体も楽になる。けれど、なかなか行く決断ができない。
 昭和20年代のことだが、中国山脈の山の中の私の故郷では、医者にかかる人は、よほどの大病以外いなかった。水の溜まった大きな腹をして縁側に座っていた老婆。目をスズメバチに刺され半分以上白く濁っていた男。指がない、曲がっている、大きな瘤。誰も医者に診てもらった人はいなかった。皆、納得して笑っていた。長くがまんして、死ぬほんの前、遠い町まで運ばれて医者にかかる。
 喉が痛いくらいで病院に行っていいものだろうか? あの忍耐と人生を受け入れて生きていた田舎の人達を私の中にどう位置づければいいのか、時代が違う、人間らしく生きられる世の中になったのだ、と考えることもできるが、戦後の影響を色濃く受けた私には、喉の痛みくらいでは、病院に行くことができない。


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)おんなの目
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