サンデー山口

　

写真のチョウは、4月下旬から5月中旬までの約1カ月間しか見ることのできないウスバアゲハ（別名ウスバシロチョウ）というチョウです。ゆっくり飛びながら、花にとまっては蜜を吸います。とても観察のしやすいチョウです。
　ウスバアゲハは北海道の西部、本州、四国の山地に生息し、九州には生息していません。山口県が分布の西限となります。山口県内の分布は岩国市・周南市・山口市の東部の山地に生息しています。ただ、産地は局地的で、どこでも見ることはできませんが、発生地では比較的多くの個体を観察できます。
　幼虫が食べる食草は、県内に広く分布しているムラサキケマンなどのケマンソウ科の植物です。メスは交尾後、食草近くの枯れ枝などに卵を産みます。卵のまま冬を越し、早春に孵化した幼虫がムラサキケマンを食べ成長し、蛹になり、成虫のウスバアゲハとなります。
県立山口博物館　動物担当学芸員　田中　浩