サンデー山口

　私は近頃、ちっとも小説を読まない。面白い小説に出会わない。というか、私が小説を理解できなくなっているのだ。書評で絶賛された小説を読んでみても、つまらない。意味がわからない。夢中になれない自分に自信喪失。
　本屋でちょっと読んでみたい、と思う小説に出会っても買うことが躊躇される。もし、面白く読む事ができなかったら自分に読解力がない、と気持ちが落ち込む。その公算が大だ。本代は私の3日分の生活費だから、被害が大きい。私は小説と遠い世界に今いる。
　ビデオに凝っている。“60歳以上毎日1本無料”という店を見つけた。
　英国の歴史ものを1本借りた。これが面白かった。理解できた。ヴィクトリア女王が、ちらりと横目で家臣を見るシーンでは、その表情で、女王の気持ちが全て理解できる。これを文章で表現するとなると、とても難しい。バックミュージックの力もある。音楽のかもし出す雰囲気を文章で書くのは至難の業。女王の内的葛藤、美男美女が繰り広げる画面は理解できて楽しかった。　
　小説は、読者に想像力、感性などを強く求める。これが私には辛くなっているのだ。枯れた…？　
　いやいや、まだまだ。近頃の小説の方に問題があるかもしれないじゃないか。私の根拠のない向こう意気だけは枯れないのである。