サンデー山口

　皆さんは杉孫七郎（1835～1920）をご存じですか。幕末から明治にかけて活躍した長州藩出身の官僚・政治家です。伊藤博文・井上馨らの「長州ファイブ」より先に幕府の遣欧使節団に随行して西欧諸国を回りました。明治維新後は主に宮内省（現在の宮内庁）で重要な役職を歴任し、1897（明30）年には枢密顧問官となりました。能書家としても有名で、漢詩をはじめ数多くの作品を残しています。「聴雨」の号でご存じの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
　このたび孫七郎のひ孫にあたる杉徳和氏から、資料約800点をご寄贈いただきました。これを記念し、10日（火）から10月14日（月・祝）まで、テーマ展「杉孫七郎～長州ファイブより先に世界を見た男」を開催します。
　孫七郎の経歴・職務に関する辞令類、遣欧使節団の見聞を記録した『環海詩誌』の草稿、漢詩・和歌などの作品、伊藤博文からの書状や、孫七郎が集めた大内氏歴代当主の書状などを張り込んだ手鑑（帳面）などを展示します。
県立山口博物館　学芸課　伊原　慎太郎