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2014年11月19日

晩秋の蚊

 朝5時に起きて、台所でお湯を沸かし始めたら、どこからか1匹の蚊が私の頬に飛んできた。振り払うと、あの独特のブーンという羽音をさせて顔の周囲を飛ぶ。羽音は小さく、湯の沸く音にかきけされそうだ。真夏の、憎しみさえ覚えさせたあの勢いはもうない。
 手の甲に止まった。じっと見ると、足も羽も細く弱弱しい。蚊は2週間程度の寿命らしいが、この蚊はもう長くないように思えた。  
 蚊の望みはなんだろう。私の血を吸うことか。血を吸い、一時の満足に浸ることか。その血で腹に卵を作り、庭の小さな池に産むことか。
手の甲を動かさずに見つめていたが、蚊が針をつきたてる痛みがしてこない。羽音も弱弱しいこの蚊は、針も弱くなっていて、私の皮の厚くなった手を刺す力はもう残っていないのだろうか。
 私とこの偶然出合った蚊と、寿命においてどちらが残り少ないのか。
 晩秋にこの蚊が庭の池に卵を産み落とす。卵は越冬し、春にボウフラとなり初夏に力の満ちた蚊となり、また、私に向かって来る。この短いサイクルの中、今、私の手の甲にいる蚊の寿命の残り時間は、70歳近い私と同じくらいかもしれない。
 蚊よ、望みを叶えよう。しっかりと最後の力を振り絞り刺せ、吸え。
 命を産めるかどうかは神に祈れ。


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)おんなの目
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