2016年03月23日
そこにいるのですか
実際の紙面はコチラ(公開期間は発行から1カ月間です)
喫茶店でメニューを見ていたら『オムライス』という声が聞こえた。Aさんだ。Aさんと一緒にこの喫茶店に来たら彼女はいつもオムライスを注文した。ケチャップに赤ワイン等を加えたソースがかかっていて美味しい。私は迷わずオムライスを注文。Aさんと一緒に食べた。Aさんは、昨年の早春亡くなった。もう一年過ぎた。
山道を歩いていたら、桜の花びらが山から吹き降ろしてきた風に舞った。視界全部が桜色。いつかこれと同じ光景があったなあ、と思っていたら『わあー、綺麗』Bさんの声がする。五年も前にBさんはこの世から立ち去ってしまったのに。はっきり聞こえる。
服を選んでいたら『あなたにはピンクがお似合いよ』Cさんが言う。
亡くなった人達の言葉が、私の中で生き返る。何気なく交わした言葉が突然息を吹き返す。言葉の欠片が花開く。私は微笑む。
馴染みの商店街を歩けば、あっちからこっちから懐かしい人が立ち上がる。声が聞こえる。公園では肩越しに囁きかけてくる。ひょいと電柱の陰から、夕暮れの庭から、椅子に坐ったままで、花の記憶から。
共有した懐かしい情景の中を通り過ぎる時、彼や彼女達は私に声をかける。笑顔と一緒に背を押す。あの犬もあの猫も私と一緒に歩く。
今日も声を聞く。
喫茶店でメニューを見ていたら『オムライス』という声が聞こえた。Aさんだ。Aさんと一緒にこの喫茶店に来たら彼女はいつもオムライスを注文した。ケチャップに赤ワイン等を加えたソースがかかっていて美味しい。私は迷わずオムライスを注文。Aさんと一緒に食べた。Aさんは、昨年の早春亡くなった。もう一年過ぎた。
山道を歩いていたら、桜の花びらが山から吹き降ろしてきた風に舞った。視界全部が桜色。いつかこれと同じ光景があったなあ、と思っていたら『わあー、綺麗』Bさんの声がする。五年も前にBさんはこの世から立ち去ってしまったのに。はっきり聞こえる。
服を選んでいたら『あなたにはピンクがお似合いよ』Cさんが言う。
亡くなった人達の言葉が、私の中で生き返る。何気なく交わした言葉が突然息を吹き返す。言葉の欠片が花開く。私は微笑む。
馴染みの商店街を歩けば、あっちからこっちから懐かしい人が立ち上がる。声が聞こえる。公園では肩越しに囁きかけてくる。ひょいと電柱の陰から、夕暮れの庭から、椅子に坐ったままで、花の記憶から。
共有した懐かしい情景の中を通り過ぎる時、彼や彼女達は私に声をかける。笑顔と一緒に背を押す。あの犬もあの猫も私と一緒に歩く。
今日も声を聞く。
Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)
│おんなの目