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2017年01月18日

実際の紙面はコチラ(公開期間は発行から1カ月間です)

森の奥  ジュール・シュぺルヴィエル
昼も小暗い森の奥の/大木を刈り倒す。/横たわる幹の傍/垂直な空虚が/円柱の形に残り/わなないて立つ。//そびえたつこの思いでの高いあたり/探せ、小鳥らよ、探せ、/そのわななきの止まらぬ間に/かつて君らの巣であった場所を。
 四十年ぶりに友人が我が家を訪ねて来てくれた。彼女は我が家の周囲の変化に驚いていた。彼女は、四十年前は我が家の近くに住んでいたのだ。その家はなくなり、大きな二車線の道路になり、裏の山は削られ五十軒もある団地になっている。彼女がいた頃は、削られた山から狐が覗いていた。シュペルヴィエルが詠った“かつて君らの巣であった場所”は、今は偲ぶよすがもない。道ができてバスが一時間に二本も通り、家が建って大型スーパーが三つもできた。病院も建った。とても便利になりました。
 生活が便利で快適になったから、幸せになったかな? 狐はどこに行った? あの山の木々は? と友人も私も問わない。静かに紅茶を飲むだけです。カップが不安で震えないようにゆっくりと。
 「転居もいいものよ。自分に貼られていたレッテルを取り外して、新しい人間関係を築くことができるのよ」。元気でまた会いましょう。かつての巣のあったこの場所で。


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)おんなの目
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