サンデー山口

実際の紙面はコチラ（公開期間は発行から1カ月間です）

　三日ほど風邪で寝込んだ。何十年かぶりに風邪をひいた。熱など出たことがなかったので、三十七度少しで気弱になってしまった。天井を見ながら、溜息を幾つもついた。早く軽い身体になって、スニーカーを履いて旅行したいなあ。暇なので希望の地を数えた。
　画家ギュスターヴ・モローの今は美術館になっている生家も訪ねたい。二十年前に一度行こうと友人達と計画していた所だ。パリの地図を広げてメトロの乗り方と料金も記憶した。ほんの少しフランス語も分担して覚えた。挨拶は、Ａ子さん。料理の注文はＢ子さん、彼女はメニューがわかるようにフランスの料理本を見ながら奮闘した。私の担当は、素敵な日本女性達ということでアランドロン（古い！）のような男性に誘われた時の断り（異国では、はめをはずさない）の言葉も覚えた…（これは嘘）。
　Ａ子さんが交通事故で足を骨折したことで中止になった。
　私は、まだパリの地図を断片的に記憶している。モローの家への路地も覚えている。モローの描くサロメに会いたい。跪くだろう。
　平泉の中尊寺金色堂も訪れたい。私は光りものが大好きなので、一度は金色堂を見なければならない。その輝く光に包まれたい。
　風邪薬は大嫌いだが、パリと平泉を想い飲んだ。いつか行けるかな。