サンデー山口

あすなろ書房
作：ミスカ・マイルズ
絵：ピーター・パーノール
訳：北面 ジョーンズ 和子
　「今織っているじゅうたんができあがるころには、わたしは、母なる大地に帰っていく」―。ナホバ・インディアンのおばあちゃんは、自分の死が近いことを家族にこう伝えました。でも孫娘のアニーはその言葉を素直に受け入れることができません。別れがつらく、じゅうたんを織る邪魔をして、何とかその日を遠ざけようとします。
　アニーの気持ちに気付いたおばあちゃんは、丘の上でこう語りました。
　「お日様は、朝、大地からのぼり、夕方、大地にしずんでいく。生きているものはすべて、大地から生まれて、大地へ帰っていくんだよ」
　目の前に広がるナホバの大地の一部となる日がおばあちゃんにも、そして自分にも必ずめぐってくる―。そんなふうに生命はつながっているのだと気付いたアニーは、自分も一族に伝わる機織りをしてみようと思いたちます。
　おばあちゃんにもらったスティックを握るアニーの凛とした横顔が印象的です。
（ぶどうの木代表・中村佳恵）