サンデー山口

岩波書店
文・絵:ペーン・デュボア
訳：松岡享子
　電気仕掛けの家に住むトミー・ナマケンボの生活は、すべてが機械まかせ。朝、ベッドは自動的に傾き、トミーを起こしてくれます。電気水かきまわし機のついたお風呂に入り、乾燥室でからだをかわかし、自動きがえ装置に服を着せてもらったら、トミーは車つき移動台で食堂へ。口をあけていさえすれば電気食事機がごはんを食べさせてくれます。
　一見楽そうな生活ですが、ある日嵐のために電線が切れて非常事態発生！　さあ、トミーはどうなるのでしょう？
　この本がアメリカで出版されたのは一九六六年。当時は現実離れした話としてうけとめられたかもしれませんが、約５０年たった今、私たちの身の回りには電気仕掛けのものがあふれています。もしトミーのように一週間停電になったら、一体どうなるでしょう。
　それはさておき、大真面目に描かれたものぐさトミーの暮らしぶりを、機械の動くしくみが丁寧に描かれたさし絵とともに楽しんでみてください。
（ぶどうの木代表・中村佳恵）