サンデー山口

偕成社
作：リードベリ
絵：ウィーベリ
訳：やまのうち　きよこ
　スウェーデンには、農家や仕事場にトムテと呼ばれる小人が住んでいると言われています。トムテは人の目に触れないところで夜番をしたり、仕事を手伝ったりし、住みついた家の人たちが幸せになるよう手助けをしてくれます。そんなトムテに感謝をこめて、人々はクリスマス・イブの夜、うまやや納屋にあたたかいおかゆを置いておくそうです。
　この絵本は、１２０年以上よみつがれてきた詩に絵を添えて作られた作品です。
　しんしんと冷える真冬のある夜、一人のトムテが夜番をしながら考えます。
　「ひとは、どこから　くるのだろう。こどもがおやになり、また　そのこどもが　おやになる。にぎやかに　たのしく　くらし、としおいて、やがて　いってしまう。だが、どこへ　いくのだろう」
　永遠を生きるトムテは、うつろう命のありように首をかしげながら今日も一人で夜番を続けます。
　雪に閉ざされた北欧の、静かな夜のおはなしです。
（ぶどうの木代表・中村佳恵）