サンデー山口

BL出版
作：川端　誠

　年が改まりはや半月。皆さんは年末年始をどのように過ごされましたか。
　『十二支のお節料理』に出てくる動物たちは、皆で仕事を分担し、実にきちょうめん
に迎春準備を行っている。うしととらが集めてきた材料を見て献立を決めるのはへびの役。ひつじが下ごしらえしたものをさるが味付け。ねずみはもちつき、いぬは年越しそばの準備…と皆、大忙しだ。いのししが火の始末を終えるとようやく除夜の鐘。行く年来る年がゆっくりとすれ違い、一夜明ければお正月。晴れ着姿の十二支が勢ぞろいした最後のページには、新春の喜びが満ちあふれている。
　子どもの頃、私はもっぱら窓ふき担当だった。かじかんだ手に息を吹きかけながらガラスをふくのは辛かったが、磨き終えたばかりの窓越しにはすがすがしい景色が広がった。台所から黒豆や棒だらのにおいが漂ってくると気持ちはもうお正月。出来上がった料理を色どりよく重箱に詰めていく母の満足そうな手つきは今でも心に焼きついている。私はいまだにお節づくりでは助手に徹しているが、そろそろ本格的に修業を積んでおかなくては、と十二支の働きぶりを見ながら反省した。（ぶどうの木代表・中村佳恵）