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2000年01月01日

No.14「あまがさ」

No.14「あまがさ」

福音館書店
作:やしま・たろう

 『あまがさ』のモモに出会ったのは5年前、下関市立美術館で開催された「絵本の百年展」の会場でした。青い傘をぎゅっと握りしめ、まっすぐに前を見据えた、しかしどこか不安気な少女の視線が心に残り、さっそく絵本を手にとってみました。 
 モモのさしていた傘は3歳のお誕生日にもらったものでした。モモはこの新しい傘をさしたくてたまりませんが、雨はなかなか降りません。
「いくにちも、いくにちもたったあるあさ、おかあさんのこえで モモは めを さましました。-おきてごらん!おきてごらん!とっても いいことが ありますよ」。
 待ちに待った雨です。モモは「おとなのひとみたいに、まっすぐ あるかなきゃ!」と自分に言いきかせながら傘を握りしめて歩きます。私が美術館で出会ったのはこの時のモモでした。新品の傘をさして歩く喜びと、降りしきる雨を、誰にも頼らず自分の力でしのぎながら歩く緊張感がそのままモモの瞳の色として描かれているように思います。
「ぼん ぽろ ぼん ぽろ…」雨音の奏でる不思議な音楽は、モモの心の深いところにまで響いていったことでしょう。(ぶどうの木代表・中村佳恵)


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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0)えほんのとびら
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