サンデー山口

セーラー出版
絵・文：イ・オクベ
　訳　：みせ　けい

　チュソクは、秋の収穫を喜び、先祖に感謝する韓国の年中行事の一つです。旧暦８月15日に行われる、ということですから、ちょうど今頃韓国は、チュソクの準備でにぎわっていることでしょう。
　町に住むソリちゃん一家はチュソクを祝うため、バスで田舎に向かいます。道路は帰省ラッシュで大渋滞。夕日が空を染める頃、ようやく田舎に着きました。
　黄金色の稲穂、ソリちゃんの頭よりも大きいかぼちゃ、大人の背丈を越すとうもろこし…実りの喜びが満ちる中、親戚一同集まってごちそうの準備をしたり、おしゃべりに花を咲かせたり。故郷に帰ってほっとした気持ちが、誰の表情からもうかがえます。
　チュソク当日、お墓参りをすませた頃、農楽隊のおはやしが聞こえてきました。トンシル　トンシル。おはやしに合わせ、踊りの輪がだんだんと広がっていきます。
　翌朝、ソリちゃん達は、実りの秋のおみやげをたくさんもらって家に帰りました。
　チュソクは「今」という時間を横に広がって生きている人達が故郷に集まり、御先祖様との縦のつながりを確かめあう大切な行事であることを伝えてくれる作品です。
（ぶどうの木代表・中村佳恵）