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2009年10月21日

山第63回山口県美展大賞受賞作品 「サンタモニカ」 下瀬信雄

山第63回山口県美展大賞受賞作品 「サンタモニカ」 下瀬信雄　

不思議な写真である。汽車が走っているのに、その音が全く聞こえてこないような気がする。山の上に風力発電用の風車が見えるが、まるで遠く浮かぶ蜃気楼のようだ。電線の下を飛ぶ黒い鳥の群もそこだけ望遠鏡でのぞいた空のように見える。
　どこか現実離れした風景。でも画面手前の濡れた道路はたった今雨が過ぎていったかのように生々しい。
　作家の説明によると、何枚もの写真をコンピュータで合成して作ったものらしい。そう聞くと「なるほどね」と納得しそうになるけれど、技法的な説明だけではこの不思議な感覚は払拭できない。なさそうでありそうなリアルな感覚。この奇妙な感覚こそ、観衆の目を惹きつけてやまない作品のオリジナルな力だと思う。
　そういえば、隣に展示してある大きな作品も不思議。世界はこんなにくっきりと見えているのだろうか？　ますます作品から目が離せなくなる。県美展は25日まで。

県立美術館学芸課長 斎藤　郁夫

タグ ：サンタモニカサンデー美術館下瀬信雄山第63回山口県美展大賞受賞作品

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Posted by サンデー山口 at 00:00│Comments(0) │サンデー美術館
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