サンデー山口

こぐま社
作：イーラ
訳：松岡　享子
　寒い冬、あたたかい穴の中で生まれた二ひきのこぐまは、春になるのを待ちかねておかあさんと一緒に外へ出ました。
　「おまえたちは　ここでまっておいで」おかあさんはそう言ってえさを探しに行きますが、やんちゃなこぐまはじっとしていられません。外にはおもしろいことがいっぱい。かくれんぼをしたり、木のぼりをしたり。ところが夢中になって遊んでいるうち、二ひきは迷子になってしまいます。小牛に聞いても馬に聞いても帰り道はわかりません。くたびれはてて草の上で眠っていると、そこへ来たのはおかあさん。お小言を言われた二ひきは「もうけっして　かってに　とおくへは　いきません」と約束しました。
　シャッターチャンスを見事にとらえた白黒写真で展開するこの絵本の作者は、動物写真家のイーラ。くまたちをカメラで追っていくうちに自然とストーリーが生まれたのでしょう。それに応えるかのようなくまたちの豊かな表情！　作者とくまが一体となってできた作品です。（ぶどうの木代表・中村佳恵）