サンデー山口

好学社
作：ラッセル・ホーバン
絵：リリアン・ホーバン
訳：松岡　享子
　朝食の時間。みんながおいしそうにたまごを食べている中でフランシスは歌います。「たまごはきらい　だいきらい…」どんなにすすめられても、フランシスはジャムつきパンしか食べません。学校へ行っても、おかあさんの作ってくれたサンドイッチを友だちのジャムつきパンと取りかえっこしてしまいます。
　へりくつばかり言って他のものを全く食べようとしないフランシス。そのうちフランシスのお皿にはジャムつきパンだけ置かれるようになりました。はじめは喜んでいたものの、すぐにうんざり。とうとうある日、みんなの食べるスパゲティを見て泣き出し、小さな声で言いました。「すこしいれてちょうだい」おかあさんはお皿にたっぷりついでくれました。
　反抗期の子の気持ちを受けとめるのはエネルギーのいること。私がフランシスの母親だったら、とっくに堪忍袋の緒が切れていたでしょう。子どもの思いを理解し大らかに対処しているこのお母さんの姿に感心させられます。
（ぶどうの木代表・中村佳恵）