サンデー山口

福音館書店
作：谷川　俊太郎
写真：長野　重一
　朝からおなかが痛いと言っていたゆたか。夜になって熱が上がり、救急車で病院へ。当直の先生がかけつけ、診察。盲腸炎とわかり「すぐに　しゅじゅつだ！」先生からは心配ないと言われたものの、検査台にのったゆたかの横顔には緊張感が走ります。お母さんからの電話で職場からかけつけたお父さんの表情もかたくこわばっています。
　メス、注射、消毒用脱脂綿。手際よく準備されて手術開始。ゆたかのおなかにメスがあてられました。
　静寂に包まれた夜の病院の中には当直医だけでなく、ボイラーマンや看護師、集中治療室の職員など、眠らずに働く人がたくさんいます。
　様々な人に支えられてゆたかの手術は無事終わり、長い夜が明けました。一晩中付き添っていたお母さんの顔にも安堵の表情が浮かびます。
　闇と光をくっきり捉えた白黒写真から、病院のはりつめた空気がピリピリと伝わってきます。夜を徹して命を守る人たちがいることへのありがたさを改めて感じました。
（ぶどうの木代表・中村佳恵）