サンデー山口

すえもり ブックス
作：ピーター・コリントン
　寝る前に海賊の出てくる絵本を読んでもらった女の子は、天使と兵隊の人形を枕元に置いて眠りにつきました。その夜、絵本の海賊とそっくり同じ顔をした小さな海賊があらわれ、女の子の貯金箱から硬貨を盗み出していきます。それに気付いた兵隊は、取り返そうと剣をふるいながらあとを追いますが、逆に捕らわれの身となって海賊船へ連れて行かれてしまったのです。
　兵隊がいなくなったことに気付いた天使はすぐに探しに出かけ、危険な目にあいながらもようやく兵隊を見つけます。二人は硬貨を取り戻し、女の子の部屋に帰り着くことができました。
　夢で二人の冒険を知った女の子は、目をあけて二人の無事を確かめると感謝のキスをして、再び眠りにつきました。
　この本は絵だけでおはなしが進んでいくので、読者は自由にイメージをふくらませながら楽しむことができます。言葉が添えられていない分、真夜中の深い静けさや人形たちの緊張感が直に伝わってくる気がします。
（ぶどうの木代表・中村佳恵）