サンデー山口

偕成社
作：イーディス・サッチャー・ハード
絵：クレメント・ハード
訳：おびか　ゆうこ
　表紙に描かれているのは、かあさんふくろうと四羽のひな。青白い月の光に照らされながら、肩を寄せ合いりんごの古木にとまっています。ひなの羽はやわらかく、まだ飛べそうにありません。りんごの実の大きさから季節は夏と思われます。
　このりんごの木が花ざかりだった頃、かあさんふくろうはたまごを四つうみました。28日間あたため続け、かえったのがこの四羽です。かあさんふくろうととうさんふくろうは、毎晩ひなたちのためにかりをし、危険が近づけば命がけで守り、成長を手助けします。
　そして春。いよいよ巣立ちの時がやってきました。ひなたちは広い世界へ飛び立ち、親どりはまた、たまごをうむ準備をはじめるのです。
　二色刷りの木版画は、ふくろうが、月の光のふりそそぐ夜の森で力強くもやさしさにみちた子育てをする様子を丁寧に伝えています。巣立っていった四羽もそれぞれふさわしい相手を見つけ、親どりと同じように愛情たっぷりの子育てをしていくことでしょう。
（ぶどうの木代表・中村佳恵）